静菌ナイトガードの解説

はじめに!

こんにちは。本日は、バクテリオスタティックプレートを利用した静菌ナイトガードの臨床研究の内容についてご説明させていただきます。

口腔内での検証(研究概要)

静菌ナイトガードの装着が口腔内細菌に与える影響を確認するため、静菌素材を配合したナイトガード用プレートを試作しました。静菌ナイトガードを口腔内に一晩装着して、起床時の口臭測定と口腔内細菌数の変化を検討しました。 このナイトガードを口腔内に一晩装着して、起床時の口臭の測定、および口腔内細菌数の変化を評価しました。 さらにナイトガードの最後臼歯部に静菌素材を配合したアクリルレジンディスクと未配合のディスクをそれぞれ取り付け、3日間装着した後に、プラーク細菌の付着状態を電子顕微鏡にて観察しました。これらの結果をご紹介いたします。

静菌素材の口臭抑制のメカニズム

口臭の主な成分は揮発性硫黄化合物であり、具体的には硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドが挙げられます。 静菌素材による口臭抑制のメカニズムとしては、

  1. 臭気成分の分解
  2. 揮発性物質の不揮発化
  3. 細菌の酵素活性の抑制 といった作用が考えられます。

静菌ナイトガードの口腔環境改善効果を確認するため、就寝前の歯磨き、および洗口液でのうがいを行って、ナイトガードを装着して就寝、翌朝に起床時の口臭成分量を測定しました。 その結果、静菌ナイトガードを装着した場合、未配合のナイトガードに比べて口臭成分の量が約半分に減少することが確認されました。 さらに、ナイトガードの口蓋部分の面積を拡大したところ、抑臭効果がさらに向上することも明らかとなり、素材の表面積が口臭抑制に重要な要素であることが示唆されました。

起床時の唾液細菌数の変化

静菌ナイトガードの装着による起床時の唾液中細菌数の変化について検討を行いました。 その結果、静菌ナイトガードを装着した場合、黒色色素産生菌は約100分の1に、連鎖球菌は約2分の1に、真菌は約10分の1に減少することが確認されました。 特に黒色色素産生菌は歯周病原性を有するグラム陰性菌である P. gingivalis などの細菌が該当することから、静菌素材が歯周病原菌に対して高い効果を示すことが確認されました。 これらの結果より、静菌ナイトガードは口腔内細菌バランスの改善、および口腔環境の健全化に有効であると考えられました。

細菌叢解析

次に、口腔内の細菌叢の解析結果についてご説明します。 左側の2つのグラフは被験者A、左から3つ目と4つ目のグラフは被験者Bのデータです。それぞれナイトガード未装着時の唾液と、静菌ナイトガード装着時の唾液を用いて解析を行いました。

解析の結果、静菌ナイトガード装着により、薄い黄土色の部分の歯周病原細菌が減少していることが確認されました。一方で、濃い青色の部分の連鎖球菌には大きな変化が見られず、常在菌である連鎖球菌のバランスは維持されていることがわかります。 2名の被験者において、細菌叢の構成比そのものは異なりますが、共通して静菌ナイトガードの装着により、歯周病原細菌の減少が認められました。この結果は、ナイトガードに静菌素材を配合することで、歯周病のリスクを低減できる可能性があることを示しています。

細菌種ごとに確認したところ、赤字で示した菌種が減少し、青字で示した菌種はほぼ変化が見られないことが判明しました。このことから、現段階では静菌素材がグラム陰性菌に選択的に作用していると考えられます。 特に歯周病原細菌の減少が確認されたことから、静菌ナイトガードの装着は歯周病の予防や治療に有効であることが期待されます。

電子顕微鏡像によるプラーク付着の観察

ナイトガードに静菌素材を配合したレジンディスクと未配合のレジンディスクをそれぞれ取り付け、口腔内に3日間装着しました。その後、レジンディスク上のプラーク細菌の付着状態を電子顕微鏡で観察した結果を示します。

左側の写真では、未配合レジンディスク上に層状に形成された球菌と桿菌が観察されました。一方、右側の静菌素材配合レジンディスクには、付着細菌の量が著しく少なく、ほとんどが球菌であることが確認されました。 これらの結果から、静菌素材配合レジンディスクはプラーク細菌のうち、特に桿菌の発育抑制、および付着阻害に効果があり、先に示した細菌叢解析の結果を裏付けるものと考えられます。

バクテリオスタティックプレートの製品特徴

そこで、口臭や歯周病が気になる方に向けた新しいナイトガードとして、静菌ナイトガードプレートを開発いたしました。 このプレートは、静菌素材を配合した2層構造の新素材で構成されており、接着剤などの中間材を使用することなく、高い接着強度を実現しています。 構造としては、対合歯が接する面に硬いプラスチックのハード層、歯肉側に柔らかいプラスチックのソフト層が接します。装着時のフィット感と快適性を両立しています。 さらにハード層には即時重合レジンの接着が可能なため、咬合面の調整にも柔軟に対応できます。 ナイトガードとして装着した際には、しっかりとした密着感がありながらも、着脱がしやすいという特徴があります。

本製品を使用することで、患者様から「使ってよかった」と実感していただけるナイトガードの提供が可能になると確信しております。ぜひ一度、この静菌ナイトガードプレートをお試しください。きっとご満足いただけるものと考えております。

静菌素材による抗菌・消臭効果の検証

レジンディスクと同様に、静菌プレートに対しても抗菌効果、菌の付着性試験、および消臭効果を検証しました。 その結果、商用レジンで得られた効果と同様の、優れた抗菌、消臭効果が確認されました。特に静菌プレートは、従来の義歯用レジンに比べて臭気物質の吸着が少なく、口臭抑制に優れた性能を有することが明らかになりました。

医療機器としての登録について

静菌ナイトガード用「バクテリオスタティックプレート」は、医療機器クラスIとして薬機法に基づき、機構への届出が完了しています。 なお、現在このプレートは保険収載の登録を行っておらず、自費診療での取り扱いとなっております。

まとめ

静菌ナイトガードプレートは、天然歯だけでなく、インプラントや補綴物の保護にも有効であり、歯周組織を健全な状態に保つ効果が期待されます。 歯周病の予防や口臭の抑制といった効果を、患者様にも実感していただけるものと考えております。 また、これまでの歯科医療にはなかった、新たな予防的治療法の1つとして、今後の展開を進めてまいりたいと考えております。 先生方や患者様からの貴重なご意見を参考にしながら、さらなる検証と改良を重ね、より良い製品、治療法の実現を目指してまいります。 ご清聴、誠にありがとうございました。

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